2001年9月21日より10月7日まで,金沢のギャラリー点において「藤井肇 個展『ジャンバラヤ』『残 風景 島』」が開催された。

 ジャンバラヤ(jambalaya)とは小学館ランダムハウス英和大辞典によれば「ジャンバレイア:植民地生まれの白人に始まった炊き込みご飯の一種;米・薬草・野菜(特にトマト・タマネギ)・こしょう・肉や魚(通例ハムまたは小エビなど)を材料とする。」と書いてある。
 高さ1m,幅60センチ×60センチの立体が3点。これがジャンバラヤ。

 ジャンク(junk)とはこれまた同じランダムハウス英和大辞典によれば「1.廃品,くず 2.値打ちのないもの,つまらぬもの 3.(ほぐしてパッキングなどにする)古綱類」などとある。
 70センチ×40センチの平面12点。これがジャンク。

入口の案内看板  藤井さんからもらった手作りの説明には次のように書いてある。
1階画廊 テーマ「ジャンバラヤ」
・極彩ジャンバラヤ
・Tシャツジャンバラヤ
・キュービックジャンバラヤ
材質 コンパネに布張り 油絵具・蛍光塗料による彩色

・ジャンク
材質 ダンボール 油絵具・蛍光塗料による彩色
 切手印刷物などのコラージュ

 ジャンバラヤ(ごった煮),ジャンク(はぎとるという意味を持つ)は,捨て去られるような,それぞれ異質な素材を張り合わせ構成された画面は不協和音のように見えながら一つの協奏曲を奏している。


ギャラリー点の外見です
2階画廊 テーマ「残 風景 島」

油絵具 カンバス
10号1点 3号8点 サム1点 計10点の油絵

 ここ1年に訪れた島々,ハワイ バリ島 沖縄 直島 の心に残った風景を情緒的に描いた。 大陸ではなく半島でもない島々には,海に囲まれ,大陸に侵略されながらも,独自に残っている歴史,風物に共通したものがあり,強く私の琴線に触れ,心に残っているものが多い。


 では,1階から入ってみますか。
1階のようす  1階はこんな感じかな。
 床には「ジャンバラヤ」が3点置かれている。
 
 左より順に
 キュービックジャンバラヤ
 Tシャツジャンバラヤ
 極彩ジャンバラヤ

 では キュービックジャンバラヤ をちょっと近づいて見てみよう。
  キュービックジャンバラヤに近づく

 それじゃ Tシャツジャンバラヤ も見てみよう。
  Tシャツジャンバラヤを見る

 最後に 極彩ジャンバラヤ を両方向から。
  極彩ジャンバラヤを両方向から見る


 では12点の「ジャンク」に近づいて見てみますか。
  12点のジャンクを見る

 これが1階。

 では,続いて2階へ。
 玄関からぐるりとギャラリーの中を1周している。
 そしてここからの記事は 「北陸中日新聞 2001年9月30日」 付けで掲載された記事である。
 北陸中日新聞には以下のように掲載されている。
ギャラリー点,2階の玄関です
ざっくりした人間性キラリ
日本海造型会議会員
藤井肇さん(金沢)個展

 日本海造型会議会員,藤井肇さん=金沢市泉野=の個展が,同市入江2−243のギャラリー点で開催中。
 作り手のざっくりした人間性が見える平面と立体作品,22点が展示されている。
 7日まで(木曜は休み)。
 ギャラリー2階には,平面十二点。
 いずれも具象画(油絵)で,藤井さんが今年前半にしたハワイ,沖縄,バリ島旅行で取材した作品がそろう。
 明快な色彩に,テキパキした絵筆さばきが印象的だ。
 そのどれも人の姿はないのだが,人間臭さは感じられる。
 「オアフ島 大きな木」 は紺碧(こんぺき)の空を背景に育った大きな木と木陰。
 シュールな雰囲気が出た。

玄関からギャラリーの中を見る  「那覇 壷(つぼ)屋通り」 はシーサ(獅子)がのった屋根が白っぽく,日差しの強さを感じさせる。
 それと赤い壁。
 そこに書かれた文字の崩れ具合があっけらかんとして,野趣味に富む。
 「首里城正殿」 は最も大きいものの,ほかの作品に比べると雰囲気がやや固い。
 正殿を描くという気構えで,そうなったのかも知れない。
 「バリ島 銀細工の村で」 は,古ぼけたような高床式の建物と背後の鮮明な自然がマッチして,引きつけられる。


ギャラリーの壁です。といっても作品だけど。 ギャラリーの中です
入口の方を見ています  1階は平面10点,立体3点とも抽象。
 特に立体は,箱(縦・横とも60センチ,高さ100センチ)は
「ジャンバラヤ」 連作。
 「極彩」 ははり付けた布の上に,油絵具,蛍光塗料で塗り,プラグのような物も取り付けている。
 「Tシャツ」 はTシャツをはり付け,上から白い塗料。
 さらにその上から鉛筆で,シャツの痕跡をなぞり,浮きたたせる−,などと,実に手の込んだ制作をしている。
 ギャラリーで聞くと,油絵のような平明な作品をもっと描いてほしいという声もあるそうだ。
 しかし,これら立体作品を見ると,いろんな文化,価値観の入り交じった現代に生きる者として,藤井さんの意欲が
「ジャンバラヤ」 (ごった煮の意味も)にこもっているように見える。(今)

 ぐるりと2階をまわって,ちょっとテーブルでくつろいで,今日のギャラリー訪問は終わる。
 ほんと言うと,今日は夕方からずっとギャラリー点にいたのだった。ビデオで搬入風景を撮るためだ。新しくできた「県立音楽堂」で「祝 個展 ミニコンサート」があるので,その時に搬入風景を映し出すためだ。 ビデオ撮影が終わってから,やおら撮った写真である。
 こちらが 個展の案内ハガキ である。このハガキには「残 風景 島」の中の一つの作品「那覇 『弁財天 堂』」が掲載されている。