GOTO心象的風景画展

 1995年11月11日より29日まで,金沢のギャラリー点において「藤井肇 GOTO 心象的風景画展」が開催されました。

 これは藤井氏がこの時期5年間に訪れたいろいろな都市の中から5つの首都を選んで描いたものです。

 作品は全部で8点。
 各作品をクリックすると大きな画像となります。
 また作品名の横にはちょっとしたその場所の説明をつけてみました。

天安門

天安門 (中華人民共和国)
北京の中心にある故宮正面の城門ですね。
起源は明朝の皇宮(紫禁城)の正門として14世紀に建てられた承平門で,現在のような形になり天安門と呼ばれるようになったのは清代(1651)です。
1949年毛沢東はこの上で中華人民共和国の成立を宣言し,現在は同国の象徴です。

テームズ河畔で

テームズ河畔で (イギリス 正式にいうと グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国 おお長い!)
イングランド南部を東流し,ロンドンを経て北海に注ぐ川ですが,この絵はロンドンはビッグベンの見えるところからのようですね。
ロンドン橋やタワー橋など有名な橋が架かっています。その河畔で藤井さんは何を見たのでしょうか?

ロンドンストリート

ロンドンストリート これまたロンドンの市中のようです。
いったいどこなのでしょうか?何か見たことがあるような気がしますが……
「いったいどこ?」って藤井さんに聞いても「ま,ロンドンや。」としか答えが返ってこないような気がする。

モンマルトルから

モンマルトルから (フランス共和国)
モンマルトルはパリ北部,モンマルトルの丘とその南ろくを占める歓楽街です。
18世紀にはブドウ畑と風車におおわれた田園でしたが,19世紀中頃から安価な住居を求める画家,詩人たちが住みつき,芸術の町となりました。
今では観光の町となっていますが,藤井さんは芸術の風に吹かれにいったのでしょうか?

オ・シャンゼリゼ

オ・シャンゼリゼ パリの中央通りですね。
エトワール広場からコンコルド広場までを結ぶ1880mの通りです。
それにしても車の洪水。夜になればこれが光の洪水で,また変わった趣が出てくるかも。

マンハッタン

マンハッタン (アメリカ合衆国)
ニューヨーク市の5区の一つです。
西をハドソン川,東をハーレム川・イースト川に囲まれ,面積は約71平方キロ,ニューヨーク市の心臓部にあたります。
1614年オランダの東インド会社が24ドルでインディアンから島を買い,発展の基礎をつくったのですが,これを二束三文というのかな。

ブロードウェイヴギ

ブロードウェイヴギ ニューヨーク市のマンハッタン区中央を南北に走る大通りですね。
興行街として有名です。
ちなみにヴギとはヴギウギのことで,ジャズ楽曲の一種。20世紀初めアメリカ中西部で黒人のダンス音楽のピアノ奏法の1スタイルとして流行しました。

サンピエトロ寺院

サンピエトロ寺院 (バチカン市国)
バチカンにあるカトリック教の大本山ですね。
ミケランジェロ設計のドームが中心で1506年に再建に着工,1656年に現在の形に完成しました。
本堂に聖者パウロの像をまつってあります。
藤井さんはクリスチャンだから行ったのか,ミケランジェロ設計だから行ったのか?

「北陸中日新聞」より
五都の風景を心象的に描く
  藤井肇さん個展
 エネルギッシュな創作活動で知られる造形家で,日本海造型会議メンバーの藤井肇さん(62)=金沢市泉野町3丁目=の個展「GOTO 心象的風景画展」が29日まで,同市入江2−243のギャラリー点で開かれている。無料。
 藤井さんは1933年,東京生まれ。金沢美術工芸大学で油彩を学び,69年の北陸中日美術展で大賞を受賞,美術の教師から県議会議員に転身した後も,チェルノブイリ原発事故をテーマにした絵画など,メッセージ性の強い作品を発表している。
 今回は「GOTO(五都)」と題して,今年10月に訪れたばかりのニューヨークをはじめ,ローマやパリ,北京,ロンドンという5つの国の都市の風景を,心象的に描いた作品8点を並べた。紙に水性顔料のマーカーで描かれた風景は,紫色を効果的に使った伸びやかな線描が印象的だ。
 会期中の23日はチェロと尺八の,28日は琵琶の演奏が,いずれも午後7時から会場で行われる。
 問い合わせは同ギャラリー=電076(292)2140=へ。

金沢のタウン誌「おあしす」 1995年12月号より
好評だったGOTO藤井肇心象的風景画展
 日本海造型会議の主流メンバーの1人である藤井肇さんの個展「GOTO藤井肇心象的風景画展」が先日,金沢入江の「ギャラリー点」で,好評のうちに終わった。
 藤井さんは1933年,東京生まれの金沢在住の洋画家。作家活動のほかにも県議会議員でも活躍するなどエネルギッシュな活動で知られている。現在は制作に専念の傍ら多忙な毎日を送っている。
 個展に展覧された「GOTO”五都”」は,10月に訪れたニューヨークをはじめ,ローマ・パリ・北京・ロンドンの5つの都市を現地で撮影したカメラスケッチのカラー写真を基にイマジネーションを拡大し,藤井さん独自のデフォルメを用いて心象風景画8点にまとめたもの。水溶顔料のマーカーで描く伸びやかな線描とパステルカラー調の明るい色彩が,的確に対象物を描写して,従来のタブローとまた違った趣を見せていた。(T)