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卒業文集発行にあたって

 1989年度 金石中学校 3年3組 卒業文集「Pas a Pas」巻頭言(1990.3.17発行)

 毎年学級文集を発行するのが,僕の趣味である。
 趣味というのが,本業を離れて,自分の好みで,採算も考えずに,かなり日常的に行うこと,というのであれば,この文集発行は,僕にとっては年に一度の道楽である。
 ではなぜこのように年に一度の道楽をするのかといえば,君たち一人ひとりのことを忘れないためである。
 なーんて突然キザになりましたね。
 でも,人間なんて忘れる動物なのである。だから君たちも試験に苦しめられているのだけれど……。
 だから僕は,その時の1年間に出会った君たちのことを,この文集をある日ふとめくってみることで,思い出したりするのである。記憶力のない僕は,この文集やら,学級通信やらが頼りなのである。
 学級文集は君たちのことを思い出すため,学級通信は自分自身の日記代わり,のつもりであったが,今年の学級通信の発行部数は少ないね。例年に比べるとあまり多くない。それは,君たちがあまりにおりこうだったからかな?でもほんと,毎年クラスの中のいじめのことだけでも学級通信がたくさん出てた。
 お母さん,あなたの子供がこんなひどいいじめやってんのよ,なんてな学級通信をたくさん書いてた。(というより書きなぐってた。)でも今年の3年3組はそんなのちっともなかったと思わないかい。(全く全然何もないとは言わないが……)おかげさんで,かどうか僕の例の文章を書いてやろうという衝動が起こることもなく1年が過ぎようとしている。
 だから,学級通信「Pas a Pas」の発行部数も自分にしては少ない。でもそれはそれで,そんな年もあったのさ,と思うことにして,でも君たち学級通信は大事にとっておいて下さいよ。
 ついでだが,表紙の色も毎年悩むのだ。毎年違った色にしようと思うので,色見本の中から,編集長の独断で選んでいる。
 今年の色は,浅葱色(あさぎいろ)という。浅いとは薄いということ,葱(き)とは葱(ねぎ)の古称。要するに薄い葱の葉の色の意味であり,薄い藍色(あいいろ),薄青色のことである。と,偉そうに書いているが辞書をくっただけ。毎年色を変えていたら,しまいには,気に入った色がなくなりそうだね。でも君たち,今年は一つあさぎ色というのを覚えたでしょ。
 なお,今年の文集の配列は,男女込みのあいうえお順にした。中には原稿の内容からそうなっていないものも2つほどあるが……  今年のこの並べ方が僕は気に入ってしまった。
 それではまずは巻頭特集として,これまでの学級通信「Pas a Pas」の中から,いくつか載せてみよう。また,文集の途中にもところどころ学級通信が登場したりもするだろう。3組らしさの現れているもの,それから担任として言いたかったこと,というのを選んでみた。
 この文集はそういう意味で,1989年度3年3組のエッセンスである。
 世界中に何冊もない文集なのだ。

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