-----greenpencil-----

中3の夏休みの意味+夏休みの学習計画を立てよう

1996年度 医王山中学校 3年1組 学級通信「Aqua−Vitae」
第40,41,42,43号(1996.7.12発行)

中3の夏休みの意味


 もうすぐ夏休みだ!
 「よーし,力いっぱいファミコンしてやるぞ。」とか,
 「マンガためてあったから読むぞ。」とか,
 「毎日朝寝坊ができるぞ。」とか,
 そんなことばっかりかんがえている君,いかんねえ。そんなので,9回目の夏休みを終わらせていいの?
 少し,次からの内容をよく読んで,考えてみてほしいね。

1.3年生にとっての夏休みの意味

 3年生にとっての夏休みの持つ意味を考えてみると,次のような点で,とても重要なものです。

@学力の向上をはかっていく上で,最後の大きな機会です。
 夏休みは,不得意教科の克服をはじめ,学習に時間をかけてじっくり取り組める機会です。
 その意味では成績アップに絶好の機会なわけです。

A進路先の調査,研究がじっくりできる機会です。
 希望している学校の調査研究などができるのも夏休みです。
 高校の体験入学もその機会の一つですが,すべての学校で実施しているとも限りません。
 そこで,自分の足を運んで,自分の目耳で確かめてくる機会です。
 通学にかかる時間,交通機関,学校のようすなどを自分で確かめてくる機会ですから,ぜひ計画的に取り組んでみたいものです。

B親子で進路についてじっくり話し合い,方向を見定める機会です。
 親の考えと子どもの考えを十分に出し合い,進路の方向を決めていく機会として夏休みは好都合です。
 親子で進路についてぜひ考えていきましょう。
 そして2学期の進路希望調査では,親子の一致した進路に関する希望をまとめておいてほしいものです。

2.こんな夏休みにしてはならない

 これまではよく「こういう夏休みにしよう」ということを聞いてきたと思うけど,もう9回目の夏休み。

 今回は,すでに過去に失敗をしてきた人もいるでしょうから,過去の失敗を繰り返さないためにも,やってほしくない例をいくつかまとめてみました。

@生活のリズムをくずして,その日ぐらしの生活をしていくこと。
 長いようにみえる夏休みも,終わってみればなんと短かったことかと感じたことが君にもあったことでしょう。
 そこで特に大切なのが,生活のリズムの問題です。
 生活のリズムをくずして,その日ぐらしの生活を送ったのではたいへんです。
 このときに大切なのが,朝の戦いです。これからは朝型の生活に変えていかなくてはならないでしょう。
 「朝早めに起きられない生徒は,成績の向上は無理。」「朝が勝負。」ということが言えるでしょう。
 朝7時に起きたのと,10時に起きたのとでは,1日の使い方が全く違ってしまいます。
 夏の10時といえばもうかなり暑くなっており,学習への意欲は減退してしまうのです。
 それならば,夜勉強すればよいのではないか,そして,午前中まで眠っていればよいのではないか,と思うでしょうが,夏休みのすべての日をそうできるならまだしも,登校日あり,家族との旅行ありで,必ずそんな日の前後に生活のリズムをくずしてしまいます。
 そうなると計画通りにいかなくなり,結局まともな生活はできません。
 なんとしても朝早起きに徹しましょう。そして暑さとの戦いに負けないようにしましょう。

Aテレビ漬けになってしまうこと。
 テレビとの戦いも,受験生にとっては大きな問題です。
 特に,夜のテレビ番組を1時間を超えて見るようになったらおしまいです。
 また,夏休みの後半に,テレビ病患者が多くなります。
 夏の甲子園大会は大変です。連日しかもすべてを放映しますから,見始めると,ついつい高校野球のとりこになってしまうのです。
 暑さとの戦いの次は,テレビとの戦いというわけです。

B外出病にかかっていくこと。
 暑さのためもあって机に向か
えない生徒も増え,ついつい外出病患者になってしまう生徒も増えてきます。
 デパートめぐりや釣りコースに出ていかない戦いも大変です。
 また,友達の家へ行って,マンガを読んでくる,ファミコンをしてくる,クーラーのきいた部屋で遊んでくるなんて人はいませんか。勉強をしに行くのは,お互いに刺激になったり,教えあったりして向上にも役立ちますが,遊びに行くだけでは,自分の時間をむだにするだけでなく,相手の意欲もそいでしまいます。
 外出病克服作戦もぜひ考えておきましょう。

3.夏休みに取り組みたい学習内容。

 夏休みの基本的な学習内容を示すと次のようになります。

@各教科の1,2年の復習を完了させていくこと。
 −−朝学習(学習講座)・教科書を中心に学習する。
A問題量をこなして,基本的な内容だけでなく,応用力もつけていくこと。
 −−自分なりに問題集を準備する。
B不得意教科の克服に重点をおいて取り組む。
 −−特に,数学・英語・社会には重点をおいて取り組む。

 以上の3点ができれば十分です。あまり欲張らないのが成果をあげる秘訣です。

4.夏休みの学習の工夫

 暑さの中の学習になるわけで,いろいろな工夫が必要です。
 そこで,学習の仕方のポイントをいくつか紹介しておきましょう。
@勉強部屋の雰囲気を変える。
 勉強部屋の雰囲気を大きく変えるのも効果的な方法の一つです。
 なるべく部屋の中をシンプルにしていくことが秘訣です。
 勉強部屋に入って暑苦しくなければ成功です。
 しかし,部屋の雰囲気を変えるのに,夏休みに入って1週間もかけたなんてことがないように。(そんな人がよくいるんだな。)
 やるなら,夏休みにはいる前にさっとやってしまいましょう。
A朝の学習に重点をおく。
 先にも書いたように,暑苦しい日々が続く夏休みの生活です。
 朝の涼しいうちが効果をあげるポイントです。
 朝の5時に起床するとか,毎日ラジオ体操に出るとかをやってみましょう。
B昼寝を活用法する。
 朝のスタートが早いわけですから,昼寝が必要になります。ただ,昼寝は1時間以上になると逆効果です。
 1時間以内ならば,脳は起きているが,体は眠っているという状態で,起きたときには目覚めもすっきりしているし,体は休息しているので元気になるという状態です。これ以上眠ると脳も眠ってしまい,勉強のために脳を目覚めさせるのに暇がかかってしまいます。
 「短い時間で深く眠る。」なかなか難しいことですが,工夫や練習しだいで可能です。
C学習内容の配置を考える。
 学習をどんな順序でやるかという点も重要です。
 基本は単純から複雑へです。
 数学の計算問題,英語の単語の記憶,社会の用語覚えなどから始めることがポイントです。
 まず,学習への体ならしから始めるのです。
 教科の配置も大切でしょう。苦手なものから始めるのです。
 大変なのは分かっているのですが,ややもすると苦手な教科に取り組む前に,疲れてしまうことが多いのです。
D学習教材を選ぶ工夫をする。
 何を学習していくかも問題です。
 基本はなるべく薄いものから始めることです。
 やりとげた経験は,次への意欲を強くするのです。
 ですから,問題集を選ぶこつは,「まず,薄いもの」を選ぶことです。
 また自分の実力を把握しておくことも大切です。
 むやみに難しいのものに挑戦してもやる気をなくすだけですし,簡単すぎると勉強になりません。
 自分の実力にあったもの,あるいはちょっと上のものを選びましょう。
E1単位時間を80分にする。
 机に向かっている時間は,短くても長くてもダメです。
 中3では80分は必要ですし,また限度でしょう。
 すぐに飽きるのは訓練がたりないので,ぜひ時間に負けないようにしましょう。
 1単位時間を80分にし,休憩を取るというようにしていきましょう。
F気分転換の方法を見つける。
 気分転換も学習の効果をあげたり,長続きさせる大切な要素です。
 先の昼寝もその一つなのですが,勉強部屋から離れること,運動を入れること,冷たい水で顔を洗うこと,散歩することなど,いろいろな方法があります。
 大切なのは何が自分に適しているかを見つけだすことです。

5.親としてぜひこれだけは。

 いつもこの進路通信をおうちの人に見せてると思うけど,特にこの項目は,おうちの人にしっかり見せて,長い夏休み協力してもらいましょう。
@生活のリズムの確保に真剣になろう。  
 まず大切なのは,親が妥協しないでほしいということです。
 特に朝のリズムだけでよいので,お勤めの方の場合でも,しっかり早起きさせて,決まった時間に朝食ができれば十分です。
 朝きちんと朝食を食べることができれば,後は自分でしっかりと取り組むはず(?)です。
A親子の対話を増やして進路について真剣に話し合おう。
 先にもふれましたが,夏休みは進路のことを親子で考えていく絶好の機会です。
 高校見学をはじめ,わが子の希望や親の願いを十分に出し合う機会をつくっていくようにしましょう。
B一緒にできる仕事(家事)を見つけよう。
 親とすれば,わが子をどうしても勉強部屋に追いやることが多くなります。
 そこで,逆に大切なのは,親子で一緒にやれることをぜひつくることです。
 例えば「日曜日の夕食は子どもとつくる。」とか「親の仕事が休みの日に一度キャンプに行く。」とかいろいろあります。
子どもにとっては気分転換になりますし,親子の語らいの場にもなります。ぜひ工夫してみてください。
C進路の学習に親としても力を入れる。
 進路のことについては,意外と知らないことが多いのではないかと思います。
 親としても,夏休みの中で,進路の学習に力を入れて取り組んでみてはどうですか。
 例えば次のような用語はこれからもときどき出てきます。
「体験入学」「推薦入試」「全日制」「定時制」「通信制」「三者懇談」
 こんな用語の意味をお子さんに尋ねるのも親子の会話を増やして一石二鳥です。
 また,高校の名前,学科の種類,学科の内容などを調べてみるのも今後役に立ちます。

 ということで,長い夏休み,親子共々ちょっとしんどいかもしれないけれども,これもまた一つの飛び越えなければならないハードルだと思って,がんばりましょう。
(参考図書=松本幸夫「わが子の受験と進路 応援カレンダー12カ月」民衆社)

夏休みの学習計画を立てよう


 課題もいっぱいの夏休み。
 そこで,しっかりとした計画を立てましょう。
 計画を立てるための参考として,次のような手順はどうでしょうか?参考になるようだったら参考にして,いい計画を立てましょう。

1.課題の量がどれだけあるのか,それにはどのくらいの時間がかかるのかを把握する。

 それぞれの課題にどれくらいの時間がかかりそうか,もう中学3年生だったら自分のことはわかるよね。

2.大まかな計画を立てる。

 まず,1日1日の計画ではなくて,大まかな計画を立てます。
 標準的な計画では,7月中に1年の復習を終える。
 8月15日前には2年までの復習を終える。
 8月20日頃からは総合問題に取り組むとともに,3年1学期の復習にも取り組む。
 そして夏休み明けの実力テストの準備をする。
 それから,その他の宿題は夏休み前半で仕上げてしまう。
 だいたいこんなものでしょうか。

3.時間の配分を考える。

 次に,1日に,1回に,午前に,午後に,平日に,行事のある日に,どれくらいの時間を使うのかを考えて,やること,やれることを決めます。

4.細かい計画を立てる。

 以上をもとにして,1日1日の計画を立てましょう。
 ただし,次のような点には注意しましょう。
・ムダのない計画を立てる。
 限られた時間を大切に使いましょう。
・ムリのない計画を立てる。
 無理な計画を立てて,失敗するとやる気がなくなるだけです。
 欲張らないで,自分にあった計画を立てましょう。
・ムラのない計画を立てる。
 好きな教科ばかりとか,いきなり理科の課題だけ全部仕上げるとかじゃなく,まんべんなく取り組みましょう。
・予備日をつくる。
 突然に計画が入ったりするものです。また計画通りにいかなかったりするものです。
 そんなときのために,予備日をつくっておきましょう。
 もしも,予備日にすることがなかったら,追加して復習ができますよ。


 そこで,今年の3年生専用の計画用紙をあげます。
 昔の先輩たちのたてた計画と実施した結果の参考資料もあげますから,それを参考にして,自分なりの計画を立ててみましょう。

-----greenpencil-----